時代劇+α 拝見録

吉宗評判記 暴れん坊将軍のお庭番(半蔵おその)を主軸とした感想記録・半蔵役の和崎俊哉 氏の出演作感想も

吉宗評判記171話『裏切り者に熱き涙を』(土橋/荒井)感想

油の価格高騰に悩まされる江戸の町。吉宗は己が抜擢した勘定奉行朝倉隼人に任せておけば大丈夫と安心していたが、忠相と御庭番の調査により値を釣り上げている油問屋河内屋常陸屋と朝倉が通じていたことが分かる。そして朝倉自身も出世に目がくらみ抜き差しならない状況に追い込まれたのを後悔、妻の加代は夫の変節と苦しみを案じていた。

 

 

 

・朝倉隼人に伊吹剛。伊吹吾郎の次の回は伊吹剛って…何、その伊吹つながり。

 

・冒頭起こった油問屋和泉屋の火事を調べてくれ、 油高騰と関係があるかもしれない、 と御庭番に頼む忠相。しかし「油高騰の件は勘定奉行朝倉隼人に任せる」と仰せの上様の意に背く事になるのでためらう御庭番。そりゃそうだ上様のおっしゃることはぜったーい。あと奉行所に人いないんかい?

どうする?て感じの半蔵おその

・疑わしい節が出たら朝倉に教えれば良い、それでお気に入りの朝倉が手柄を立てれば上様もご満足…と説き伏せる忠相。半蔵、忠相の言葉に頷いてるよ(かわゆ)納得した御庭番、さすが大岡様…という風情で忠相を見送る。2人共忍者とは思えないほど素直ね。

半「さすが大岡様」その「ねー?」

・火事を目撃者した大工に話を聞く半蔵。全員焼死した筈の和泉屋から黒い着物を着た人物らが出てきた…一人の目尻に傷が、との証言。怪しい坊主に気持ちよく話してくれるいい人ですね。

何故坊主が聞き込みを...

・朝倉に声をかける上様。出会った頃の回想。ああ、いつものラス立ち回りと同じ。今まで何回も繰り返された光景で、彼のように抜擢された人も何人もいたよね。その人が裏切ることがある。『めでたし、めでたし』の後のお話が今回なんだな。

 

・油問屋の河内屋常陸屋をそれぞれつけて、屋形船に来た御庭番。黒幕が来るのかもしれないと思ったらまさかの朝倉。半蔵「見たくないものを見てしまったようだ」おその「上様に何と申し上げたらよいんでしょう?」戸惑う2人。朝倉さん何してくれてんの。

朝倉隼人じゃん⁉な二人

・船には河内屋常陸屋以外に若年寄稲葉@深江章喜が。いい悪顔だなー。勘定奉行になった時に面倒をみてくれた稲葉の為に油の値上げを見逃していた朝倉。付け届けも受け取っていたのでもう沼から抜け出せない。一味が邪魔な和泉屋を葬ったのを知り愕然とする。

この顔は下心があるに決まってるだろ

・忠相に相談する半蔵おその。忠相が上様には自分が話すと言うと明らかにほっとするwかわいい。

大岡様にまかしとけば安心☆

・朝倉の事を更に調べて忠相に報告するおそのと火付け犯らしき目尻に傷のある浪人が河内屋に出入りしてるのを確認する半蔵。忠相とおそのに合流し、目撃者の大工が殺されたことなども知らせる。

 

・忠相はいよいよ上様に知らせねば…となるが辰五郎を見かけ「そうだ!頭に頼むのが1番いいだろう!」ちょw忠相ww御庭番→忠相→辰五郎に渡される貧乏くじバトン。

まじか忠助wwwおそのの目が...

・ちなみに自分と半蔵らは上様の言葉に背いて朝倉を洗ってたので、その自分らに言われても上様は平静に聞けないだろう…というのと上様は傷つくだろうからその時に傍にいるのは辰五郎がいい、との思し召し。

 

・辰五郎、上様に事の次第を伝える。身を翻し、隼人の屋敷に行き事実なら成敗してやる!と上様。上様は基本どんな時も冷静なお方なので逆上するのは珍しい。どれだけ朝倉を信じていたか分かりますね。

 

・上様を止める辰五郎。人を信じる時は相手と心中する覚悟でなければ、(隼人を即処断しようとするのは)忠相たちに面目がたたないと思っているのだろうが相手を斬ったら何もかもおしまいだ…などと中々良いことを言う辰五郎。

 

・何かこの流れを見てると辰五郎はやはり上様の“友達”なんだなー忠相は“臣下”で。どちらも大切だしどちらが上ってわけじゃないけど。友達の忠言なら素直に聞けるけど臣下の諫言は受け入れられない時あるもんね。

 

・しかし改めて聞くと成敗で全て解決しようとする暴将世界を否定する文言で笑う。

 

・稲葉の屋敷へ行く朝倉隼人。その後を妻の加代が追う。つけていたおそのの元へ半蔵が。黒幕は稲葉但馬守、すぐ上様に知らせてくれ、とおそのに頼む(もう上様はめ組の頭から聞いて全て知っているので)

もう上様に話してOK☆

・密談中の稲葉と油問屋のところへ乗り込み斬りかかる朝倉。そこへ襷掛け姿で「どこまでもお供します」と現れる加代、撃たれそうな夫を庇い亡くなる。

 

・上様登場。稲葉を罵りつつ、朝倉にも「断じて許さんぞ!」と声がけ。ラス立ち回り。朝倉さんが奮闘するも斬られそうなところに割って入る半蔵。

 

・上様にぶっ叩かれた絡みの人の回転が見事過ぎて笑う。

 

・稲葉さん成敗。上様の「成敗!」で半蔵がチャッと仕込み抜くのかっこいいね。

 

・平伏し詫びる朝倉に「なぜだ隼人、なぜ俺を裏切った!」と感情あらわに詰問する上様。こんな時なのに、感情的なの珍しくてかわいいと思ってしまう。

御庭番、この場にいたくないだろうな...

・「俺に人を見る目はないのか!」……上様ファンだけど今までを考えると「ある」とは言えない!ごめん!見る目があったら800回以上も続かないしね☆

 

・上様の取り立てに有頂天になり、隙が生まれつけこまれた…すべて自分のおごりからおきたこと、とまっすぐ顔をそらさず言上する朝倉。伊吹剛いい顔するなあ。

泣ける...

・朝倉「人とは心の弱いもの、おごりに負けやすいものでございます」これ、言い訳してるんじゃなくて、凡夫の悲しさ己の弱さを告白してるんだよね。泣ける。

 

・そして人を治めるには人の弱さを知ってなくちゃいけないから、あえて上様に申し上げてるんだろうな。上様は自分がおそろしく強靭だから人の弱さを知っていても心底理解することはまだできてないだろうから。

 

・お詫びに陰腹を切っていた朝倉「愚かな私の死が、あとに続く者達の道を閉ざすことにならないよう…上様のご信頼にお答えする者はきっと出て参りましょう」泣ける…後の者達のためだけでなく、上様が人を信じられなくならないよう言ってるよね。朝倉さん、陥穽にはまっちゃったけど上様ご信頼のとおり元は性根が良かった証左。

半蔵、目を閉じてる...悲しいものね

・この台詞の時、控えてる半蔵が目を閉じたのでやはりここ泣きどころよね…と。

 

・稲葉さんは病死発表、和泉屋を殺し火付けした河内屋一味は獄門という結果に。

 

・実を言うと俺は得意になっていた、あの男の才能を引き出したのはこの俺だ、俺でなければ使いこなせなかっただろうと。おごっていたのはこの俺かもしれん…と辰五郎に述懐する上様。朝倉の告白を聞きながら己の中にもおごりを見つけたんですね。

 

・そうして自分を責めるのが新さんのいいところです、それに大岡様みたいな人を引き出したのも新さんじゃないですかとフォローする辰五郎。

 

・そこへめ組の衆がやってきて大川へ泳ぎに行こうと誘う。誘いにのって皆と走り出す上様。どうせなら泳ぐところまで映していただきたかったものです。

 

 

加代役の葉山葉子は109話『天下晴れてのつまみ喰い』でも夫を支えるけなげで明るい妻役を演じています。

そちらの回も脚本は土橋氏で話の展開も“夫が出世に目がくらみ妻が案じる”で同じ。基本は焼き直しでも夫に上様が抜擢したという設定を足したことでまた違ったものになっているのが興味深いですね。